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2019.7.23

家そのものが湿度に対応するゼロ宣言の家

日本は高温多湿の風土で、家づくりと湿気対策は切っても切り離せない関係です。今回は湿気対策についてお話しします。

機械任せが主流になっている湿気対策

現在建てられている家の主な湿気対策は機械任せになっていて、家自体は湿気に対応できていないところがほとんどです。機械というと、代表的なのはエアコンで、湿度・室温の調整をしています。湿気だけをとる機械(除湿機)もあります。逆に冬は、加湿器で調整します。このように、機械に頼らざるを得ないというのが現状です。

しかし、私たちが建てる家は、家そのものが湿度に対して対応できなければならないと思っています。昔は、無垢の木、土壁や漆喰といった材料を使って、夏涼しくて、冬暖かい適切な環境を家が作り出す「家づくり」をしていました。私たちが建てる家も、それと同じように家の基本性能として湿気対策ができるようになっています。

体感温度を左右する湿度

夏は室温が高くなり、28度になると暑く感じます。しかし、同じ28度でも、湿度50%と80%とでは感じ方が違うのです。湿度50%ではそんなに暑く感じません。それが体感温度です。夏は、出来るだけ湿度50%に近づけるのが健康的で快適な部屋の環境になります。逆に冬は室温が20度で乾燥していると寒く感じます。湿度が50%に近いと暖かく感じます。湿度は人間の体感温度を左右します。体感的に涼しければエアコンをつけることもないので、体感温度は重要です。

ゼロ宣言の家の湿度対策

例えば、無垢板。このフローリングは杉の無垢材です。無垢の木というのは、湿気を吸って、吐くという調湿効果があります。

壁の漆喰も非常に高い調湿効果があります。調湿効果がある素材を使うことで、家自体の調湿効果を高めることができるのです。ゼロ宣言の家は壁の中にセルローズファイバーを使っています。これは、元が木なので、調湿効果が高いのです。セルローズファイバーと漆喰で調湿していますから、じめじめしている季節でも、快適なのです。

結露の仕組み

二つのコップがあります。片方が結露しています。どうなっているかというと、片方は、氷水、片方はお湯を入れてあり、氷水の方が結露します。湿気は、室温が低ければ蓄えにくくなり、高ければ蓄えやすくなります。空気中には水蒸気がある状態です。氷水のコップの表面温度は下がるので、空気中に蓄えられている水蒸気が水滴となって現れて、コップの表面につく。これが結露の正体です。

壁に結露が起きる、ということは

家の中で結露というと、冬の窓ガラスの表面がよく知られています。外が冷たいのに部屋の中は暖かいから結露が起きるのです。実は同じようなことが、壁の中でも起きます。夏は外の空気が熱く、家の中の空気は冷房で冷たくなっています。よって、冷たい側の壁の内側に結露が生じます。これを夏型結露と言います。逆に冬は外壁側の壁の内側に結露ができやすくなります。これを冬型結露と言います。結露が起きると大きな問題を生じます。カビの発生です。カビができると、ダニが繁殖してしまいます。ダニの死骸と、カビが出すMVOCという猛毒は、人が病気を引き起こす原因の一つになっています。ですから、結露の発生はできるだけ抑えないといけません。

結露を発生させないゼロ宣言の家

ゼロ宣言の家は、結露が出にくい構造になっています。まず、壁の断熱効果が高い。サッシの断熱効果も高い。断熱の中の要素の一つである、セルローズファイバーが壁の中に充填されているので、結露が発生する余地がないのです。